5.12.2006

ポテトが空を飛ぶ日


全員、固まっている

その真ん中で、何も乗っていないお皿を両手で持っている栞里
これまた、固まっている

“またか…”家族はみな、そう思う
この日のおやつは、カリカリのハッシュドポテト!
出来立てのポテトは〜〜〜♪

シーーーーーーーーーーーン

足元に散々する、ポテト

シーーーーーーーーーーーン

この沈黙を破るのは、決まって誰かの肩の震えである
ヒクヒクヒク…
ヒクヒクヒク…
互いにうつむいたまま、チラッと目を合わせれば、
「せーの!」

ぎゃぁあああああっはっはっはっはっは!!!
割れんばかり、涙の大爆笑が止まらない

「あのね、とっても熱かったから、
 扇風機みたいに回ったら、冷めると思ったの…」
「…で、お皿を持って、回ったの」
「………」

みんな、ヒクヒクヒクヒク、消化不良を起こすほど笑って食べる
笑いがやんだと思っても、又誰かの方がヒクヒクヒクヒク
嗚呼、彼女は何度、繰り返す
冷めた、ハッシュドポテト