今年も広報艇の船から、胸躍る。
海上ですれ違う艇は、互いに皆、とびきりの笑顔で手を振る。
今年30周年を迎える相生湾ヨットレースは、
地元主催のレースとしては国内有数の規模である。
…よく、思う。
熟練の船乗り達は、不思議な体温を持っている。
海原で輝く艇が、優雅な一線を超えた時こその
いのちの小ささと重さを知っているからだろうか。
かつてこの海は、遣唐使が天命を懸け目指した海だった。
その後も海上交通港として先進の文化が花開き、
今日も、日本の海軍が育てた造船技術を集結する沿岸である。
煌めく晴天の今日。
この穏やかな海流の向こうでは、
3000万人以上の難民が助けを待っている。
大海を、方位計も無い小舟で怯え漂う様から、
大海を、方位計も無い小舟で怯え漂う様から、
世界は難民の総称をボート ピープルと呼ぶ。
時代により、
国により、
人により、
国や、海や、船は、こんなにも持つ意味が違う。
海の美しさに、
いのちの重さに、
国境が無くなりますように。
この風に、国境が無いように。