7.24.2010

室津 夏越し祭り

















瀬戸内海、室津。灼熱の炎天下、女禁の豊漁祭りは過酷だ。
昼宮、村に響き渡る唄と太鼓は晴れ晴れと海をわたり、
宵宮には「獅子渡し」が行われる。
この夜獅子の頭を奪った者には、特別な縁起と名誉が授けられるという。



これは観光祭ではない。
血の濃い漁村の荒っぽさも手伝って、
指を、肩を、声を痛めながら、
それでも引いてはならぬ男の喧嘩祭りだ。

主役は40代 迄の若手が担う。
血の気の多い集団を、30年以上関わる
熟練の組合が納めていく。

進行役の周旋は、トビのような俊敏さで
周囲を守備。この様、見事である。
各地の祭がそうであるように、この祭も、
平安より受け継ぐ特別な意味がある。




それを教えてくれたのは、汗立ちこめる男衆の寄り合い場だった。
幼い頃からみなが村の暮らしを共にし、酒をあおり語り合う。

室津には、人々の生涯を通じ、古き良き縦割りと横の繋がりが活きている。


















男が儀式の節目に戻る迄、女衆は食事作りに追わる。
そして戻ればハイヨと、汗だくの洗濯物に取りかかる。
周旋と女衆の手筈のよさは、翌日の午後には
祭りの夢の跡を残さない事からも伺える。
そう、この村は女も強い。

さて私は、次は男に生まれよう。